海水水槽の栄養塩を7日間測定|NO3・PO4と藻の変化を実測してみた

飼育記録・実験

海水水槽を管理していると気になるのが、ガラス面に発生する藻です。

私の水槽でもガラス面に藻が発生していました。

そこで気になったのが、

「藻が増えているとき、水槽内の栄養塩は実際にどのくらいあるのだろう?」

ということです。

今回は、硝酸塩(NO3)とリン酸塩(PO4)を7日間測定しながら、ガラス面の藻がどのように変化するのかを観察しました。

この記事では、予想に合わせて結果を解釈するのではなく、実際に測定・観察できたことを中心に記録します。

判断できなかったものについては、無理に結論を出さず「判断できない」としています。

今回7日間の栄養塩測定を行った海水水槽

今回の検証の目的

今回確認したかったのは、

「NO3・PO4の測定値と、実際に目で見える藻の増え方にはどのような関係があるのか」

ということです。

海水水槽で藻が発生すると、NO3やPO4などの栄養塩が原因として挙げられることがあります。

では、実際に藻が発生している私の水槽では、NO3とPO4はどのような数値になるのでしょうか。

今回は7日間、できるだけ同じ条件で測定と観察を続けることにしました。


検証前の水槽の状態

今回の検証を始める前には、給餌を止めていた期間がありました。

そのときの測定結果は、

  • NO3:0 ppm
  • PO4:約0.01 ppm

でした。

この期間については、藻の明確な増加は確認していません。

また、海水を作るために使用している水についても測定しました。

結果は、

  • NO3:0 ppm
  • PO4:約0.01 ppm

でした。

検証前のNO3測定結果
検証前のPO4測定結果

検証開始前にガラス面の藻を除去

7日間の観察を始める前に、それまでガラス面に付着していた藻を物理的に除去しました。

藻を除去した状態をスタート地点として、通常の給餌を行いながら再び藻が発生するのかを観察します。

検証期間中はNO3とPO4を測定するとともに、ガラス面の状態を目視と写真で記録しました。

プロテインスキマーについては検証開始時から稼働させています。

7日間の観察開始前、ガラス面の藻を除去する前の状態
ガラス面の藻を物理除去した直後の状態

今回観察している藻について

水槽を立ち上げて最初に発生した藻は茶色でした。

一方、今回の検証前に藻を物理的に除去した際、実物を確認すると緑色に見えました。

写真では茶色っぽく見える場合もあります。

そのため、立ち上げ初期に発生した茶色い藻と、今回観察している藻が同じものなのかは現時点では判断していません。

藻の種類についても、今回の観察だけでは特定していません。

検証開始前にガラス面から物理除去した藻。実物では緑色に見えました

追記:観察終了後に付着物を回収して確認

7日間の観察終了から約2週間後、ガラス面の別の場所に付着していたものを白いメラミンスポンジで回収し、色を確認しました。

その結果、回収された付着物は茶褐色のものが大部分を占め、緑色のものも少量混在していました。目視では、茶褐色がおよそ9割、緑色がおよそ1割程度でした。

メラミンスポンジで回収した茶褐色主体の付着物

ただし、この付着物は7日間の定点観察面から回収したものではなく、観察終了から約2週間経過した後に別の場所から回収したものです。

そのため、7日間の観察期間中に増えていた藻も同じように茶褐色主体だったとは判断できません。

今回あらためて回収して確認したことで、水槽内や写真で見える色だけでは、実際の付着物の色を正確に判断しにくいことも分かりました。

また、茶褐色の付着物には珪藻などの可能性も考えられますが、色だけで種類を特定することはできません。今後は必要に応じて実際に付着物を回収するとともに、Si(Silicon:ケイ素)についても測定し、発生条件をさらに確認していく予定です。


NO3・PO4を7日間測定した結果

Day 1|NO3 0 ppm・PO4 約0.02 ppm

測定結果は、

  • NO3:0 ppm
  • PO4:約0.02 ppm

でした。

ガラス面には藻の発生を確認しました。

また、この時期にはシッタカ貝が1匹死亡しています。

死亡した生体から水中へ何らかの物質が溶出した可能性はあります。

ただし、少なくとも今回の測定ではNO3の上昇は確認できませんでした。

Day 1|ガラス面に藻の発生を確認

Day 2|PO4は約0.02 ppm、藻は増加

測定結果は、

  • NO3:0 ppm
  • PO4:約0.02 ppm

でした。

水質測定値はDay 1とほぼ同じでした。

一方、ガラス面の藻については前日より増えていることを目視で確認しました。

また、ガラス面にはシッタカ貝が藻を食べたと思われる跡も部分的に確認できました。

Day 2|前日よりガラス面の藻が増加。シッタカ貝の摂食跡と思われる部分も確認

Day 3|NO3が0.25 ppm未満

測定結果は、

  • NO3:0.25 ppm未満
  • PO4:約0.01 ppm

でした。

Day 1~2では0 ppmだったNO3に、0.25 ppm未満の範囲で反応が確認されました。

PO4は約0.02 ppmから約0.01 ppmとなりました。

藻についても引き続き観察しました。

Day 3|ガラス面の藻を継続観察

Day 4|前日とほぼ同じ測定結果

測定結果は、

  • NO3:0.25 ppm未満
  • PO4:約0.01 ppm

でした。

NO3・PO4ともに前日とほぼ同じ測定結果です。

ガラス面の藻については、前日から微増しているように見えました。

この段階までは、藻が少しずつ増えていることを目視でも確認できました。

Day 4|ガラス面の藻が前日よりわずかに増加しているように見えた状態

Day 5|NO3・PO4ともに0 ppm

測定結果は、

  • NO3:0 ppm
  • PO4:0 ppm

でした。

ここでNO3とPO4の両方が測定上0 ppmとなりました。

ただし、ガラス面から藻がなくなったわけではありません。

藻は存在していましたが、前日より増えているのかどうかを目視で判断することが難しい状態になりました。

そのため、この時点で「藻の増殖が止まった」とは判断していません。

Day 5|NO3・PO4ともに0 ppm。ガラス面には藻が残っている

Day 6|2日連続でNO3・PO4ともに0 ppm

測定結果は、

  • NO3:0 ppm
  • PO4:0 ppm

でした。

前日と同じ結果です。

ガラス面の藻については、

「増加している」

「わずかに増加している」

「横ばい」

のどれなのか、目視では判断できませんでした。

分からないものを無理に判断せず、この日は「判定できない」と記録しています。

Day 6|ガラス面の藻の増減を目視では判定できなかった状態

Day 7|3日連続でNO3・PO4ともに0 ppm

7日目の測定結果も、

  • NO3:0 ppm
  • PO4:0 ppm

でした。

これでDay 5からDay 7まで、3日連続でNO3・PO4ともに測定上0 ppmとなりました。

ガラス面の藻についてもDay 6と同様です。

増加しているのか、微増なのか、横ばいなのかを目視では判断できませんでした。

Day 7|NO3・PO4ともに3日連続で0 ppm。ガラス面には藻が残っている

7日間の測定結果一覧

7日間のNO3・PO4と、同時に観察したガラス面の藻の状態をまとめました。

日数NO3(硝酸塩)PO4(リン酸塩)ガラス面の藻
Day 10 ppm約0.02 ppm藻の発生を確認
Day 20 ppm約0.02 ppm前日より増加
Day 30.25 ppm未満約0.01 ppm観察継続
Day 40.25 ppm未満約0.01 ppm前日から微増
Day 50 ppm0 ppm増えたかどうか目視では判定困難
Day 60 ppm0 ppm増加・微増・横ばいを判定できず
Day 70 ppm0 ppm前日同様、目視では判定できず

観察したガラス面の藻の状態をDay 1・Day 4・Day 7の比較としてまとめました。

Day 1|ガラス面に藻の発生を確認
Day 4|ガラス面の藻が前日よりわずかに増加しているように見えた状態
Day 7|NO3・PO4ともに3日連続で0 ppm。ガラス面には藻が残っている

7日間の測定値から分かったこと

7日間の測定結果を見ると、NO3・PO4は一定ではありませんでした。

Day 1~2では、

  • NO3:0 ppm
  • PO4:約0.02 ppm

Day 3~4では、

  • NO3:0.25 ppm未満
  • PO4:約0.01 ppm

そしてDay 5~7では、

  • NO3:0 ppm
  • PO4:0 ppm

となりました。

一方、藻は前半では増加を目視で確認できました。

しかし後半になると、藻が増えているのか、微増なのか、横ばいなのかを目視では判断できなくなりました。


NO3・PO4が0 ppmでも藻は存在していた

今回、特に興味深かったのがDay 5以降です。

NO3・PO4ともに測定上0 ppmとなりましたが、ガラス面には藻が残っていました。

つまり、今回の水槽では、

「ガラス面に藻が存在している=NO3・PO4が必ず測定される」

という結果にはなりませんでした。

ただし、ここで注意したいことがあります。

測定値が0 ppmだからといって、水槽内に窒素やリンが完全に存在しないとまでは言えません。

魚への給餌によって水槽内には物質が入ります。

それが分解される過程や、生体、藻、微生物などに利用される過程があります。

今回測定しているのは水中のNO3・PO4なので、水槽内で起きているすべての物質の動きを測定できているわけではありません。


「栄養塩が0 ppmだから藻が増えなくなった」とも判断しない

Day 5~7ではNO3・PO4ともに0 ppmでした。

そして同じ時期に、藻の増加についても目視では判断できない状態になりました。

この2つの現象が同じ時期に起きています。

しかし今回の7日間だけでは、

「NO3・PO4が0 ppmになったから、藻の増殖が止まった」

とは判断できません。

逆に、

「NO3・PO4が0 ppmでも藻は増え続けた」

とも言えません。

なぜなら、Day 5以降については藻が増加・微増・横ばいのどの状態だったのか、目視では判断できなかったからです。

今回確認できた事実は、

「NO3・PO4が測定上0 ppmになった時点でも、ガラス面には藻が存在していた」

というところまでです。


当初は7日間で終了予定でしたが、観察を延長

今回の検証は、もともと7日間で終了する予定でした。

しかしDay 7終了時点では、

  • NO3:0 ppm
  • PO4:0 ppm
  • 藻:増加・微増・横ばいの判定ができない

という状態でした。

ここで観察を終了すると、その後どう変化するのか分かりません。

そこで、Day 1~Day 7を当初予定していた検証期間として一度区切り、その後は「延長観察」として記録することにしました。

7日間のデータそのものは変更せず、延長期間の結果とは分けて考えます。


延長観察では「給餌後」も測定してみた

今回の7日間を振り返ったとき、もう一つ気になる点がありました。

これまでの栄養塩測定は、基本的に餌を与える前に行っていました。

そこで延長観察では、

「餌を与えた後ならNO3・PO4は上昇するのか?」

を確認してみることにしました。

実際に給餌を行い、2時間後にNO3・PO4を測定しました。

結果は、

  • NO3:0 ppm
  • PO4:0 ppm

でした。

少なくとも今回の測定では、給餌から2時間後にもNO3・PO4の上昇は確認できませんでした。

ただし、この1回の結果だけで、

「餌を与えてもNO3・PO4は増えない」

とは断定しません。

餌が魚に食べられ、その後排泄され、さらにさまざまな過程を経てNO3やPO4として測定されるまでには時間がかかる可能性があります。

そのため今回確認できたのは、

「今回の給餌条件では、給餌2時間後にも測定可能なNO3・PO4の増加は確認できなかった」

というところまでです。


今回の7日間の結論

今回の7日間では、NO3とPO4を毎日測定しながら、ガラス面の藻を観察しました。

測定結果は、

  • NO3:0~0.25 ppm未満
  • PO4:0~約0.02 ppm

の範囲でした。

前半にはガラス面の藻が増えていることを目視で確認できました。

一方、Day 5~7ではNO3・PO4ともに0 ppmとなり、藻についても増加・微増・横ばいのどれなのか目視では判断できない状態になりました。

今回の結果から、

「藻の原因は栄養塩だった」

とも、

「栄養塩は藻に関係なかった」

とも判断していません。

ただ、実際に7日間測定したことで、

ガラス面に藻が存在していても、NO3・PO4が測定上0 ppmになることがある

という結果を確認することができました。

水槽の状態を判断するときには、NO3・PO4の数値だけを見るのではなく、実際の藻の状態や水槽全体の変化も合わせて観察する必要がありそうです。


次回はLED照明と藻の関係を検証します

今回の7日間は、NO3・PO4と藻の変化を観察する検証としてここで一区切りとします。

そして次に気になっているのが、LED照明の光とガラス面の藻の関係です。

藻が増えるためには栄養分だけではなく光も関係します。

では、実際にこの水槽でLEDから受ける光量を変えた場合、ガラス面の藻の増え方は変化するのでしょうか。

これについては今回の7日間の結果には含めず、次回の別実験として条件を設定して検証してみます。

現時点では、

「今回のガラス面の藻はLED照明が原因だった」

とは判断しません。

LEDの条件を変更したときに藻がどう変化するのかを、今回と同じように実際の水槽で観察していく予定です。

予想どおりの結果になるのか、それとも別の結果になるのか。

次回も、実際に確認できたことをそのまま記録していきます。

今回の測定で使用した栄養塩測定キット

今回の7日間の検証では、NO3(硝酸塩)とPO4(リン酸塩)の測定に、実際に自分の水槽で使用している測定キットを使いました。

今回使用したNO3・PO4測定キット全体

今回のように毎日測定してみると、単に「数値が高い・低い」を確認するだけではなく、日ごとの変化を記録できるのが測定キットを使うメリットだと感じました。

一方で、色を見比べて数値を判断するタイプの測定では、境界付近の数値を正確に読み取ることが難しい場合もあります。

今回の記事でも「約0.01 ppm」「0.25 ppm未満」などと表記しているのは、実際の測定結果以上に細かく断定しないためです。

そのため、この記事に記載している数値についても、測定キットで確認できた範囲の結果として見ていただければと思います。

実際に使ってみて感じたこと

低濃度まで測定できて、小刻みな値の測定ができるところが魅力的でした。今回はそれらを発揮するような濃度にはなりませんでしたが、私が測定キットを探した範囲では、今回確認したかった低濃度域まで細かく測定できる製品は限られており、その中からこのキットを選びました。

水中濃度かなり低い一般的な管理域の目安藻の増殖を警戒しやすい領域
NO3(硝酸塩)<1 ppm約1~10 ppm10~20 ppm以上
PO4(リン酸塩)<0.01 ppm約0.02~0.10 ppm0.1 ppm以上

・測定方法は分かりやすかったか
硝酸塩は、粉Bと粉Cは解け残りますので大丈夫か心配になりますが、解け残るとの情報もあるようなの今回は気にせず測定を進めました。

硝酸塩の解け残り


・色の判定はしやすかったか
正直なところ、濃度が薄いと判断が難しいです。色が付いているような付いていないような感じですが

硝酸塩を測定中
リン酸塩を測定中


・毎日の測定に手間を感じたか
正直、心が折れそうになりました。水槽に不具合が発生したときに測定するぐらいがちょうどいい感じです。


・初心者でも使いやすいと感じたか
私自身、高校では分析化学を実習を通じて学び(検定試験も合格しています)、その後も大学・大学院で化学系を専攻していたため、測定操作そのものには比較的慣れています。その点を差し引いても、手順を確認しながら進めれば、初めて水質測定をする方でも扱いやすいキットだと感じました。

実際に測定している様子

使用した測定キットはこちら

【商品名:Red Sea NUTRIENTS CONTROL PRO】

※この記事は、実際に自分の水槽で測定した結果を記録したものです。測定値や使用感は、水槽環境や測定条件などによって異なる場合があります。

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