海水魚水槽を維持していると、どうしても気になってくるのがガラス面に付着する藻(コケ)です。
私の水槽でもガラス面に藻が発生するようになり、掃除しても時間が経つと再び増えてきました。
そこで今回試してみたのが、海水水槽のコケ取り生体として知られているシッタカ貝です。
「シッタカ貝を入れておけば、本当にガラス面をきれいにしてくれるのか?」
実際の水槽で観察してみることにしました。

シッタカ貝は本当に藻を食べるのか?
まず確認したかったのは、単純に「本当に藻を食べているのか?」ということです。
観察してみると、これは比較的すぐに確認できました。
ガラス面の藻の中に、シッタカ貝が移動した部分だけ藻がなくなったような跡が現れました。

この跡を見る限り、少なくとも私の水槽では、シッタカ貝がガラス面の藻を食べていることはかなり分かりやすく確認できました。
ところが、ここで一つ問題が出てきました。
食べているのにガラス面はきれいにならなかった
シッタカ貝が藻を食べていることは確認できました。
しかし、水槽全体を見ると藻は増えていきます。
シッタカ貝が通った場所にはきれいな跡ができるものの、その周囲では新しい藻が増えていました。
つまり当初の観察では、
「シッタカ貝は確かに藻を食べる。しかし、藻の増殖には追いついていない」
ように見えました。

この時点だけで評価していたら、「シッタカ貝だけではコケ対策として不十分」という結論にしていたかもしれません。
ところが、その後の観察で少し面白いことが起こりました。
照明設定を変更したら状況が変わった
別の検証も兼ねて、水槽の照明プログラムを変更しました。
それまで使用していた「設定8」では、ブルー照明が日中ほぼ100%で長時間続き、夕方になってから徐々に弱くなる設定でした。設定8と設定9では最大出力そのものを大きく変えたわけではありません。主に午後から照明が消えるまでの出力を下げることで、1日あたりの累積照射量を減らしています。
その後「設定9」に変更。
最大出力そのものはほぼ100%のままですが、午後から早めに出力を下げるようにして、1日を通した累積の照射量を減らしました。


変更した正確な日は記録していませんでしたが、7日間の栄養塩測定を終了してから約5日後、8月24日前後だったと思います。
そして照明変更後、そのまま水槽を観察していると、以前とは違う変化が見えてきました。
シッタカ貝が通ったと思われる場所がどんどんきれいになった
照明を変更してしばらくすると、ガラス面が徐々にきれいになってきました。※下記はガラスにピントを合わせて撮影しています。

もちろん、シッタカ貝がすべて除去したと断定することはできません。
しかし、それまで確認していた摂食跡や水槽内での行動から考えると、シッタカ貝による摂食が関係している可能性は高そうです。
ここで一つの仮説が浮かびました。
藻が増える速度と、シッタカ貝が食べる速度の関係では?
最初の状態を、
藻の増殖速度 > シッタカ貝の摂食速度
だったと考えてみます。
シッタカ貝は一生懸命食べていても、それ以上の速度で藻が増えてしまえば、ガラス面全体としては藻が増えて見えます。
ところが照明の累積光量を減らしたことで、仮に藻の増殖速度が低下したとすると、
藻の増殖速度 < シッタカ貝の摂食速度
という関係に逆転した可能性があります。
そうであれば、「シッタカ貝の能力が途中から高くなった」のではなく、藻の増殖速度が落ちたことで、それまで追いつかなかったシッタカ貝の摂食が追いつくようになったと説明できます。
これは今回の観察で特に興味深かった部分です。
シッタカ貝は「入れれば藻がなくなる生体」ではないのかもしれない
今回の観察だけから、「照明を弱くすればシッタカ貝だけで藻を完全に抑えられる」と結論づけることはできません。
照明以外にも栄養塩、水槽の成熟、藻の種類など複数の条件が変化している可能性があるからです。
また、今回の照明変更は最初から比較実験として設計したものではなく、変更日も正確には記録していません。
そのため、現段階では観察から得られた仮説として考えています。
ただし、少なくとも今回の水槽では、
「シッタカ貝は藻を食べていた」
ということは実際の食痕から確認できました。
そしてもう一つ重要だったのが、
「ガラス面がきれいにならない=シッタカ貝が役に立っていない」とは限らない
ということです。
シッタカ貝が食べる速度以上に藻が増殖していれば、食べていても結果として藻は増えて見えます。
今回の観察では、照明条件を変更した後、そのバランスが変化した可能性が見えてきました。
今回の結論
今回の水槽で確認できたのは、シッタカ貝が移動したガラス面に、摂食跡と思われる藻のない部分が確認できたことです。そして当初は藻の増殖に追いついていないように見えたものの、照明の累積光量を減らした後にはガラス面が徐々にきれいになってきたことです。
ただし、
「光量を減らしたから藻の増殖が低下し、シッタカ貝が勝つようになった」
という部分については、まだ仮説です。
そこで今後は、光量・硝酸塩・リン酸塩などの条件も記録しながら、本当にこの関係が再現するのか確認していきたいと思います。
シッタカ貝について今回一番印象に残ったのは、単純に「コケ取り能力が高い・低い」という話ではありませんでした。
藻を食べる生体の能力だけを見るのではなく、「藻が増える速度」と「生体が食べる速度」のバランスを見る必要があるのではないか。
今回の観察から、そんな疑問が生まれました。


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